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発行者/奈良市・浅野善一
浅野善一

奈良市西ふれあい広場取得土地 地裁鑑定「若干高いが許容範囲」 住民訴訟で実施

 奈良市の西ふれあい広場計画で市土地開発公社に不必要な土地を高額で先行取得させたのは違法として、市市民オンブズマンの桐山幸矩代表幹事ら4人が市を相手取り、当時の大川靖則・元市長らに損害賠償請求するよう求めた住民訴訟で、奈良地裁が土地の取得価格が適正だったかどうかを判断するため実施した不動産鑑定の結果が24日までに明らかになった。鑑定意見は取得価格について「若干高い」としたものの、「許容範囲にある」とした。

 鑑定実施は原告側からの申し出を受けたもので、地裁が指定した大阪市の不動産鑑定士が行った。公社が1994年から2000年にかけて約18億円で取得した同市二名7丁目の山林など約4万8000平方メートルの土地26件について、取得時点の適正価格を算定した。土地の地目は山林のほか田やため池などで、いずれも市街化調整区域にある。

 算定にあたっては、公共事業により特定の者が特別な犠牲となる場合に全体的な公平負担の見地から行われる損失補償基準に準拠した。鑑定評価の日付はことし6月30日。

 提出された鑑定評価書は対象土地について、近隣の住宅市街地の価格水準に強く影響を受けて地価が形成される「都市近郊林地地域」と判断。各土地の1平方メートル当たりの価格を最も高いもので3万7600円、最も安いもので1万8600円と算定した。大半は、当時の取得価格を下回る結果となった。

 内訳は、取得価格が鑑定価格を約51%上回った土地と約48%上回った土地がそれぞれ1件、平均で約47%上回った土地が8件、平均で約27%上回った土地が5件、平均で約10%上回った土地が7件、差がなかった土地が4件だった。

 結果について、鑑定意見は「極端に大きな差は生じなかった」とし、「買い取り価格自体は損失補償基準に準拠した適正価格としても若干高いが、許容範囲にあると思われる」と結論付けた。

 鑑定意見は一方で取得当時の鑑定に対する疑問も呈した。「鑑定書の不合理性に関する原告の論証はおおむね当を得ている」と述べ、阪奈道路から通じる私道を対象土地の「価格形成要因として過大評価」している点を挙げた。また、市が当時、大きな費用を投入して作成した用地平面図が「鑑定作業で重視されなかったことは不可思議」と指摘。「(宅地と評価した場合の)造成条件の分析は全く行われず、宅地見込地地域内の山林、田などの抽象的把握にとどまっている」とした。

 取得当時の鑑定評価書は、対象土地を「宅地見込地」と判定。鑑定結果に基づいた取得価格は94年が1平方メートル当たり4万2300円、96年以降が同3万3200円だった。

 これに対し、市土地開発公社経営検討委員会(委員長・出水順弁護士、5人)は2011年の報告書で、「鑑定額を融通してくれる鑑定士を選んでいたとのことであった。当時の鑑定士の選定方法・鑑定評価手法の客観性には疑問を持たざるを得ない」と指摘している。

 同計画は、地元の地主が91年、障害者福祉のためにと市に寄付した山林内の土地約2000平方メートルが発端となった。土地に進入路がなかったことから、周辺の土地を買い足して公園にする計画に発展したが、周辺の土地も大半がこの地主の所有だったため、問題の土地を取得するに至った。しかし、計画は頓挫し、土地は塩漬けとなった。訴訟で原告側は、計画は地主の土地を買い上げるためだったと主張している。

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