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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

宋連玉・青学大名誉教授が講演 日本の旧植民地の公娼制度、戦地の慰安所と国家を語る

講演する宋連玉・青山学院大学名誉教授=2021年12月2日、奈良市大安寺1丁目の県人権センター

講演する宋連玉・青山学院大学名誉教授=2021年12月2日、奈良市大安寺1丁目の県人権センター

 日本の旧植民地における公娼制度や戦地の旧日本兵が利用した慰安所の実態を調査する数少ない歴史学者、宋連玉(ソン・ヨノク)青山学院大学名誉教授が4日、奈良市大安寺1丁目の県人権センターで「慰安婦・公娼・妓生、言葉の政治性について」と題して講演。「大事なことは当時の国家の本質を見つめること。構造の中にいた犠牲者を取りこぼしたくない」と、参加者約50人に投げ掛けた。

 講演会は、韓国人女性、金学順(キム・ハクスン)さん(1924~97年)が旧日本軍の慰安婦だった身の上を名乗り出た日から30年になったことを記念し、市民団体「I(アイ)女性会議なら」の畑三千代さん、奈良市議の阪本美知子さんらが開いた。金さんの告白を巡り、当時、日本国内から厳しい非難や中傷があった。しかし畑さんらは、今日の「MeToo」(ミートゥー)運動と呼ばれる、性暴力の被害女性が声を上げて仲間の輪を広げる潮流の先駆けと評価する。

 宋さんは日ごろ、内外の資料を渉猟し、いろいろな現地を訪ねて関係者に聞き取りをしている。講演の中で、奈良県大和郡山市内にあった遊郭「寿楼」の1936年当時の遊客名簿も入手した話をして、利用する労働者らの所得との因果関係を分析。また、軍隊という組織が禁じた同性愛の実相にも言及した。

 「公娼なのか慰安婦なのかという区別をして語る識者は少なくない。そうなると、国家に責任はなかったという結論に導かれやすい。そうでなく、私たちは重層的な歴史認識を深め、植民地主義を批判的に検証し続け、新しい地平を切り開いていきたい」と語った。

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