公共施設敷地内への喫煙所設置反対 3600人の署名を市長に提出 香芝の市民団体
福岡憲宏市長（右）に署名簿を提出する「喫煙所新設に反対する市民の声」の曽根秀一代表＝2022年5月6日、香芝市役所
市役所などの公共施設で敷地内禁煙を実施している奈良県香芝市で、市議会が市に対し「屋外分煙施設」の整備を求める決議をした問題で、「喫煙所新設に反対する市民の声」（曽根秀一代表）は6日、公共施設敷地内に喫煙所を設置しないよう求める要望書を、3608人の署名を添えて、福岡憲宏市長に提出した。
署名は、「市民の声」の会員らが今年3月20日ごろから、地域の人たちに声を掛けるなどして集めた。この間、市民集会の開催や2万枚のちらしの市内各戸への配布、駅前やスーパー、公園など8カ所での街頭宣伝にも取り組んだ。
署名提出のため「市民の声」の会員ら19人が市役所を訪れた。署名簿は福岡市長が直接受け取った。曽根代表は「喫煙所のなかった市役所に分煙施設と称してこれを設置するのは納得できない」などと述べて、署名簿を手渡した。
「喫煙所新設に反対する市民の声」との面談で要望に耳を傾ける福岡市長（左から2人目）＝2022年5月6日、香芝市役所
この後、福岡市長に要望を伝える機会も設けられた。参加者の女性は「他市に先駆けて実施された敷地内禁煙は自慢できる取り組みだった。突如、喫煙所を作る話が出てきてとても残念」と述べた。別の女性は「市民から市役所への喫煙所設置の要望があったのか」と質問した。男性は「街頭活動では反対の声が圧倒的だった」と述べた。
福岡市長は「署名の思い、重さは受け止めた」と述べた。その上で「市民から喫煙所設置の要望を聞いたことはない」とする一方、「職員が休憩時間に（喫煙のため）コンビニに行って、迷惑を掛けているのも事実。対策を考えなければならない思っている」とも述べた。
市長は「決議した議会と反対する市民の二つの意見がぶつかっている。今は何とも言えない」と理解を求め、市役所への喫煙所設置の可否を明確にしなかった。
「屋外分煙施設」の整備を求める決議は、昨年12月の定例会で賛成多数で可決された。「市民の声」は今年2月、市の公共施設敷地内に喫煙所を新設しないよう求める請願書を提出したが、3月の定例会で賛成少数で不採択となった。
香芝市は2018年4月に市受動喫煙防止条例を施行、同時に市役所などの公共施設で敷地内禁煙を実施した。当時、庁舎の敷地内禁煙は県内市町村で3例目だった。 関連記事へ