香芝 屋外分煙施設の設置場所示さぬ議会決議 市が真意くみ取り
「喫煙所新設に反対する市民の声」との面談に応じる福岡憲宏市長（左）＝2022年5月6日、奈良県香芝市役所
奈良県香芝市議会が2021年12月に賛成多数で可決した、市に屋外分煙施設の整備を求める決議が、分煙施設の整備を求めながらも、どこに設置すべきか具体的に示していないことを巡って、市が設置場所について決議の真意を「くみ取る」という事態が生じている。福岡憲宏市長が5月6日の「喫煙所新設に反対する市民の声」（曽根秀一代表）との面談で、「市役所への設置とくみ取れる」と述べたことで鮮明になった。市役所への設置を主張する者がどこにもいないのに、目標とされようとしている。
同市は2018年から市役所などの公共施設で敷地内禁煙を実施している。
この日は、「市民の声」が決議に対抗して、市の公共施設敷地内に喫煙所を設置しないよう求める3608人の署名を福岡市長に提出した。曽根代表は市長に対し「喫煙所のなかった市役所に分煙施設と称してこれを設置するのは納得できない」と訴えた。「市民の声」は、決議の狙いが市役所に喫煙所を設置させることにあるとみている。
福岡市長は署名を受け取った後の面談の場で、決議について「市役所への設置とくみ取れる」とした上で、設置の可否について「議会と市民と二つの意見があり、今は何とも言えない」と説明した。「市民の声」の一人は市長に対し、「議会と厳しい対決があるかもしれないが、市民の署名を受け止めてもらいたい」と求めた。
面談終了後、福岡市長は報道陣の取材に応じた。市長は、決議の真意が市役所への設置にあると考える理由について、決議を提案した眞鍋亜樹議員（無所属）が議会での質疑で、市役所の敷地を出た所で喫煙している姿が見られる、と述べたことを例として挙げた。眞鍋議員は後日の議会で、設置場所について「決議文の中では市役所の中につくってくださいとは書いていない」「公共の場所に求めるものである」とも発言している。
分煙施設の設置場所について福岡市長は、市内全域と市役所を対象に検討していることを明らかにした。市役所については、仮に設置することになった場合、敷地内のどこに設置するか8つのパターンを検討。費用はパーテーションのような簡易なものかどうかで、200万円ぐらいから1000万円ぐらいまで、さまざまとした。市役所以外の市施設への設置は考えていないとした。
福岡市長は、分煙施設の設置場所について、議会に意向を確認しても回答は期待できないとの認識を示した。
一方、決議を支持する川田裕議長は、今年3月24日の定例会本会議終了後の報道陣による取材の際、分煙施設をどこに設置すべきと考えているのか示すべきではないかとの質問に対し、市が議会に分煙施設整備の議案を提出すればそこで議論はできる、との考えを述べている。 続報へ