【視点】市役所敷地内の喫煙所に反対する請願 なぜ不採択、議論なく 香芝市議会総務建設委の説明責任問う
香芝市役所=同市本町
市役所などの公共施設で敷地内禁煙を実施している奈良県香芝市で、市議会が市に対し「屋外分煙施設」の整備を求める決議をしたことを巡り、市民団体が議会に提出した「市役所敷地内に喫煙場所を設置しないことを求める請願書」について、市議会総務建設委員会(河杉博之委員長、8人)は6月14日、賛成少数で不採択とした。
採決に当たって行われた討論で、採択反対の意見を述べる委員はいなかった。数では採択に反対する委員が勝ったが、なぜ反対するのかの議論はなかった。請願書は議会の決議を受けて提出されたものでもある。委員会は、なぜ不採択なのか議論を通じて、市民に説明する責任があったのではないか。
請願書を提出したのは「喫煙所新設に反対する市民の声」(曽根秀一代表)。同団体の請願書提出は2度目で、1度目は今年3月の定例会で不採択となった。今回の請願理由では、5月6日に3608人の署名を添えて福岡憲宏市長に喫煙所設置反対の要望書を提出したことを挙げ、設置反対の「市民の声が広がっている」などと訴えている。
この日の請願書の審議では、初めに請願書の紹介議員である筒井寛議員(enjoy香芝)に対する質疑があった。続いて、採決に移った。「請願書を原案通り採択することに異議はないか」との河杉委員長の進行に対し、「屋外分煙施設」決議の提案者でもある眞鍋亜樹委員(無所属の会)から「異議あり」の意思表示があり、討論が行われた。
2人が請願書の採択に賛成の立場から意見を述べた。これに対し、反対討論を行う委員は一人もいなかった。この後、起立による採決が行われた。賛成は3人。4人が反対した(委員長は採決に加わらない)。
「異議あり」の意思表示をした委員が反対討論を行わなくても、市議会会議規則などに抵触するわけではない。一方で、市議会基本条例は守られたのか。「議会の説明責任」を述べた条例第7条は「議会は、議決責任を深く認識し、議会運営、政策立案、政策決定、政策提言等に関し、市民に対して説明に努めなければならない」と定めている。
委員会会場では「市民の声」の関係者ら多数の市民が傍聴していた。会議はインターネットで同時中継され、約1週間後には録画の閲覧もできる。会議録も残される。
請願書の本会議での審議、採決は開会中の6月定例会最終日の23日に行われる予定。 関連記事へ