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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

町民以外の開示申し出 条例で認めるも、できないとして処理 奈良県平群町、記者の情報公開求めに

平群町が誤って作成し記者に送ってきた「公文書不開示決定通知書」

平群町が誤って作成し記者に送ってきた「公文書不開示決定通知書」

 奈良県平群町は町情報公開条例で町民以外の任意開示申し出を認めているにもかかわらず、町外に住む「奈良の声」記者が町の文書について開示申し出を行ったところ、できないものとして処理、4月17日付で記者に対し不開示を通知した。記者の指摘に対し町は20日、誤りを認め、手続きをやり直すことを明らかにした。

 町情報公開条例によると、開示請求の権利があるのは住民、町内在勤・通学者、町内事務所・事業所の所有者、町と利害関係のある者。ただ、これらに該当しなくても、公文書の開示の申し出があったときは、これに応じるよう努める任意的開示の条文がある。任意的開示の場合、不開示に不服があっても審査請求できないという違いはあるが、開示の可否に差はない。

 記者が開示を求めたのは「第三セクター等改革推進債の借入にかかる事務文書」一式。4月6日付で町に対し任意開示申し出書を送付した。これに対し町は17日付で「開示請求できるものに該当しない」とする「公文書不開示決定通知書」を作成し、「開示しない」とする行政処分を行った。同処分は開示請求に対するもので、任意開示申し出に対しては「公文書任意的開示回答書」を作成しなければならなかった。

 町総務防災課の情報公開の担当者は19日、記者が条例に任意的開示の規定があることを伝えても「任意開示とは何ですか」と聞き返し、「不開示決定は情報公開審査会の弁護士とも相談の上、行ったものであり、何ら問題はない」と受け付けなかった。

 このため記者は20日、改めて町に対し条例の任意的開示の条文を示すとともに、本年2月1日付町広報紙「MY TOWN HEGURI」が掲載した「2021年度情報公開および個人情報保護制度の運用」で、公文書の情報公開制度は開示請求と開示の申し出の2通りあり、実績が明記されていることを伝えた。

 総務防災課長は「担当した職員は経験が浅く、条例を熟知していなかった」とした上で「確認が不足していた。反省している。申し訳ない」と課としての責任を認めた。

 情報公開法は、公正で民主的な行政の推進に資することを目的とし、地方公共団体に対しても、情報公開の施策と実施を要請するが、県内市町村では「知る権利」に対する運用の格差が著しい。

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