水道管継ぎ手の耐震性不明、奈良県14市町村で2割超える 一体化協議で判明
大阪市水道記念館に展示されている耐震型の継手=2023年9月16日、大阪市東淀川区柴島1丁目
奈良県域水道一体化を協議している県広域水道企業団設立準備協議会(会長・山下真知事)の協議に参加の26市町村中、水道管と水道管をつなぐ継ぎ手の耐震性が不明なものが2割を超える市町村が14あることが、県が「奈良の声」記者に開示した2023年4月の会議資料から分かった。
東日本大震災では継ぎ手が外れ、断水になった事例が複数、報告されている。
耐震化構造を備えた継ぎ手は、大きな揺れでも地盤と一緒に動いて伸び縮みし、容易に外れないという。水道管の耐震化を巡っては、県域水道一体化の協議ではこれまで、法定耐用年数40年を超える水道管を一律に老朽化の目安としてきた。市町村ごとに同年数超過比率をグラフにして比較していた。
開示された会議資料は県水道局が調査したもので、継ぎ手の情報を水道施設台帳などに記録していない市町村がかなりあった。
継ぎ手の情報が不明な水道管がゼロから1%未満なのは県営水道、生駒市、橿原市、大和郡山市、御所市、香芝市、大淀町にとどまる。水道一体化の協議から離脱した奈良市も、そうした水道管はほとんど存在しない。
逆に、継ぎ手の情報が不明な水道管の比率が高い市は五條市(85%)、大和高田市(58.4%)、宇陀市(46.8%)、桜井市(18.2%)。
うち宇陀市は水道管の総延長593キロメートルのうち、敷設年度の不明管は存在せず、材質や管種の全ての情報を把握し、この点に関しては、参加市町村の中で課題のない状態にある。
同市水道局施設課は「古い水道管の図面に継ぎ手の情報が記載されていないものがある。2006年の4町村合併による市発足当時から状況はほとんど変わっていない。地域差も見られる」と話す。
改正水道法(2019年施行)が義務として課す水道施設台帳の整備については、厚生労働省の例示などに沿って自治体が、水道管の口径、材質などと共に、継ぎ手の形式を記載することになっている。
県域水道一体化の協議に参加するある自治体の水道担当者は「台帳の電子化が遅れると、継ぎ手に関する記録も後手になる傾向があるかもしれない」とする。また、別の自治体の担当者は「参加予定市町村の台帳管理、技術面などの落差が著しく、企業団発足後に対応する可能性もある」と話す。 関連記事へ