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第1回「奈良の声」読者会の報告

浅野善一

奈良・馬見丘陵公園、10月初め駐車場有料化・渋滞対策実験に3700万円 「高額」指摘で来春2回目取りやめへ 知事、県議会決算委で表明

馬見丘陵公園北駐車場=2025年9月9日、奈良県広陵町、浅野善一撮影

馬見丘陵公園北駐車場=2025年9月9日、奈良県広陵町、浅野善一撮影

 花の公園として知られる奈良県営馬見丘陵公園(河合町、広陵町)で10月初めの催し期間中に実施された駐車場有料化・渋滞対策の実験に対し、「費用が高額」との指摘が、20日の県議会定例会決算審査特別委員会(松尾勇臣委員長、9人)で委員からあり、山下真知事は来年春に予定していた2回目の実験を取りやめたいと表明した。

 実験は、4~13日の催し「あきいろマルシェ in 馬見フラワーフェスタ」に合わせて実施された。駐車場有料化は、持続可能な公園管理に向けた新たな財源の確保のためとして検討されている。期間中、駐車場の利用1回につき500円の料金を徴収した。

 渋滞対策では広域的な交通誘導を実施した。同公園では催し期間中の駐車待ちの車などによる周辺道路の渋滞が課題になっている。実験では、仮設のLED情報板を周辺の主要交差点に設置し、駐車場の「満」「空」情報の提供や駐車場への経路案内を行った。

 乾浩之委員(自民党倭)が指摘した。同委員は実験の費用について「駐車場有料化で600万円、交通量調査で1500万円など総額で3700万円と聞いてびっくりした」と述べた上で、「このような高額な費用をかけて2回も実験をする必要があるのか。今回の実験だけでも十分結果が出ていると思う。丁重な説明をすれば地元も納得してくれる。費用対効果を考慮し、来年春の実験は見送れないか」とただした。

 これに対し山下知事は、実験を2回実施する理由について二つあるとし「一つは春と秋で来場者の傾向が異なる、もう一つはより高い精度で検証内容を評価できる」などと説明する一方、「多額の費用を要するのも事実。今回の秋の実験で一定のデータを取得できた。地元の乾委員から助言をいただけたことも心強い」とし、「来年春に予定していた2回目の実験は取りやめたい」と述べた。

 乾委員は、2回目の実験で予定されていた費用を最寄りの近鉄池部駅から公園中心部に至る「緑道」の整備に充ててほしいと要望。公共交通機関の利用につながると指摘した。

筆者情報

花の公園「財源確保」で駐車場有料化の実験 奈良県営馬見丘陵公園、10月の催し期間中、1回利用500円

馬見丘陵公園北駐車場=2025年9月9日、奈良県広陵町、浅野善一撮影

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