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浅野善一

奈良県水道一体化参加 浄水場廃止などに意見 大和郡山市が市民説明会

奈良県域水道一体化への参加を目指す大和郡山市が開いた市民説明会。参加者の質問に耳を傾ける上田清市長(左)=2024年7月14日夜、同市北郡山町のやまと郡山城ホール

奈良県域水道一体化への参加を目指す大和郡山市が開いた市民説明会。参加者の質問に耳を傾ける上田清市長(左)=2024年7月14日夜、同市北郡山町のやまと郡山城ホール

 奈良県域水道一体化への参加を目指す大和郡山市の市民説明会が7月14日夜、同市北郡山町のやまと郡山城ホールで開かれた。昨年1月に続き2度目の開催。同市では、一体化参加に当たって自己水源の浄水場2施設のうち、一つが廃止になることなどが議論になっており、市議会でも参加を巡って賛成と反対で意見が二分している。

 説明会には市民72人が参加。上田清市長や市上下水道部長らが説明に臨んだ。市は市水道事業の現状と課題について説明し、単独経営をやめて一体化に参加することでどう変わるのかを説明した。一体化では、県内26市町村と県営水道などで県広域水道企業団(一部事務組合)を設立する。

 現在、市の水道の水源は、井戸水を利用した自己水源とダムの水を利用した県営水道の水源の二つで、割合はほぼ半々。市は、自己水源の浄水場が更新時期を迎えていることや老朽化した水道管の更新が必要になっていること、人口減少などにより料金収入が減っていることなどを課題として挙げた。

 これに対し、市は一体化参加の効果として、県広域水道企業団への国の交付金や県の財政支援により多額の資金が投入され、市内水道施設の老朽化対策への高い投資や将来の水道料金の値上げ幅抑制が見込めるとした。

 質疑応答では参加者から厳しい質問もあった。市民への一体化に関する情報提供の在り方については「廃止される浄水場があることを知らない市民がいる」などと説明不足が指摘された。上田市長は「市広報紙やホームページを通じてより詳しく情報提供したい」と応じた。

 上田市長が2021年6月の市長選挙で「一体化への参加は見送り」としていたことについても、公約に反するのではとの質問があった。当時、市は水道事業の預金に当たる内部留保資金の扱いを巡って、一体化を主導する県と対立していた。市長は「県にも譲歩をいただき条件が変わり、市民の利益になると判断、参加の方向にかじを切った」と理解を求めた。

 昭和、北郡山の二つの浄水場のうち北郡山が廃止されることに対しては「能登半島地震を教訓に自己水源を守ってほしい」「北郡山をなくす理由を何か」などの質問があった。上田市長は「浄水場の維持に一体いくらお金が掛かるのか。料金収入の状況や県全体の水の状況を考えて、こういう判断が示された」と説明した。

 県域水道一体化で今後予定されているのは、今年9月の参加各市町村の議会での企業団設立議案などの提案。すべての市町村で可決されれば、11月に県広域水道企業団が設立され、来年4月に事業開始となる。

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