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第3回「奈良の声」読者会の報告~読者が開く読者の集い

ジャーナリスト浅野詠子

記者余話)水道統合、住民説明会の開催回数に大きな違い

長野県上田市営染屋浄水場=2024年8月、同市古里、浅野詠子撮影

長野県上田市営染屋浄水場=2024年8月、同市古里、浅野詠子撮影

 水道統合の協議が行われている長野県で、協議に参加中の市の中に、住民説明会を18回も開いたところがある。奈良県の水道統合は26市町村も参加しながら、住民説明会を開いたのはわずか2市で、回数も計3回にとどまった。大きな違いに驚かされる。

 千曲川流域4市町の水道と県営水道の統合協議が2024年にスタートした長野県。上田市(人口約15万人)は市内9地区で2回ずつ、計18回に及ぶ住民説明会を開いた。また、長野市は同年12月、全世帯(約16万5千世帯)に水道統合協議に関するリーフレットを配布して意見を募り、住民説明会を4回開いた。

 一方、奈良県では、住民説明会を開かなかった市町村は「議会の了解を取りつければ十分」という姿勢で済ませていた。県が主導した水道統合は、手を挙げるのが早ければ早いほど、国庫補助金の受給に有利という国の政策が反映されていた。赤字の弱小水道を複数抱えていて、2025年度に事業を開始することが至上命題だった。その分、県民参加と情報公開、メリット・デメリットの検証、料金試算に対する説明などに課題を残した。

 2年前、私は上田市の「おいしい水を広める市民の会」(川田富夫事務局長)のシンポジウムに招かれ、改正水道法に盛り込まれた水道広域化の進め方に関する疑問点などをテーマに、元同市水道事業管理者らと意見交換する機会があった。

 発言者の1人、信州大学名誉教授の中本信忠さんは「少子高齢化が進むなら、水道は小規模分散が良い」と訴えた。中本さんは市に対し、緩速ろ過による市営染屋浄水場の水道水製造を「生物浄化法」と位置付け、存続に向けた助言をしている。

 奈良県の水道統合後の事業主体となった県広域水道企業団(企業長、山下真知事)の水道事業は2年目を迎えた。合理化の第1弾として、大和郡山市の市街地に地下水を水源とする水道を供給してきた旧市営北郡山浄水場が今年4月、廃止された。

 同浄水場は生物接触ろ過施設を有し、薬品の使用が抑制できた。環境型の施設という点では、上田市営の浄水場と共通点があった。

 「小規模分散」の考え方に対し、奈良県が主導した水道統合は、川上村の大滝ダムを水源とする御所浄水場が主力で送水距離が遠隔となり、高低差の大きい最北の生駒市内まで高圧で水を送る。計画では奈良盆地の地下水浄水場は極力廃止する方針で、その分、浮かすことのできる更新費用を「効果額」としてきた。

 上田市の浄水場は2023年、通水100年を迎えた。市営染屋浄水場の敷地には水道資料館があり、創業時からの水道資料が展示されている。建物は水道創業時の大正時代の事務所を移築したもの。水道の歩みに誇りがあるように感じられた。

 上田市は水道百年の記念誌を発刊したが、同じ創業100年なのに記念行事を見送った奈良市(水道統合不参加)とは対照的だ。

 7回目となる千曲川流域の水道統合に向けた任意の協議会が5月29日、開かれ、就任したばかりの斉藤達也新市長の発言が注目された。協議会事務局によると、市長は「統合による料金試算などを精査した上で判断したい」と述べた。また、現行の統合の枠組みで検証するだけでなく、上田市周辺町村の生活圏に視野を広げた統合も検討してみるという。

 性急に答えを出さず、慎重に検討しようとする姿勢がうかがえる。

 水道広域化に早く手を上げた団体に国庫補助金を有利に支給するとした政府の対応は最善といえるのか。

長野県上田市の水道資料館=2024年8月、市営染屋浄水場内、浅野詠子撮影

長野県上田市の水道資料館=2024年8月、市営染屋浄水場内、浅野詠子撮影

筆者情報

視点)渇水を機に考える 大滝ダムに傾斜した奈良県の大型水道統合

水が枯れ水没した旧国道169号や橋脚が姿を現した大滝ダム貯水池=2026年4月12日、奈良県川上村、浅野詠子撮影

県域水道一体化を考える

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