西奈良県民センター跡地の無償譲渡、県「難しい」と回答 住民の要望受け、奈良市が問い合わせ
売却が予定されている西奈良県民センター跡地=2021年8月、奈良市登美ケ丘2丁目
奈良県が今年度売却を予定している奈良市登美ケ丘2丁目の西奈良県民センター跡地を巡って、売却に反対する住民が奈良市に対し、県に跡地の無償譲渡を申し入れるよう求めていた問題で、市の問い合わせに対し県が「無償譲渡は難しい」と回答していたことが分かった。
市は今月15日付で、住民でつくる「西奈良県民センター跡地利用を考える会」(川島信彦世話人代表)に対し、文書で県の回答を伝えた。「奈良の声」は31日までに、「考える会」から同文書の提供を受けた。
「無償譲渡」の話は、「考える会」がことし8月5日、県公園緑地課と面談した際に出た。同課は、一般論として県の都市公園を地元自治体が引き続き公園として使用する場合、無償譲渡は可能であると「考える会」に対し述べていた。
「考える会」はこれを受けて、同月27日、仲川げん市長にあてて要望書を提出していた。要望書は、市が跡地を公園として活用することを前提に、県に対し跡地の無償譲渡を申し入れるよう求めていた。
市は同文書で、県への問い合わせの結果について「2021年10月、県公園緑地課に無償譲渡は可能であるか再度確認したところ、あくまで一般論として申し上げたものであり、民間に売却する方針に変更はなく、無償譲渡は難しいとのことだった」と説明、その上で「県の売却方針に対し、これ以上意見を述べることは難しく、市の公共施設の整備状況や財政状況を鑑みると、県から有償で譲り受けることも厳しく、県に譲渡の申し入れは行わない」と述べている。
跡地は県立大渕池公園の都市計画決定区域に含まれているが、都市公園として供用開始には至っておらず、県公園緑地課は「奈良の声」の取材に対し、「無償譲渡は難しい」と話した。
同課は現在、跡地を都市公園の都市計画決定区域から除外するための都市計画変更案の作成に向け作業を進めている。変更案は県都市計画審議会の承認を得なければならない。住民にも意見を述べる機会がある。
県ファシリティマネジメント室は、除外の手続きが完了するまでは跡地の売却は行わないとしている。
「考える会」はことし1月、県に3000人の署名を提出するなど、跡地の売却中止と防災を兼ねた公共施設の建設を求めて運動を続けている。 関連記事へ