県の西奈良県民センター跡地売却問題 利用の再考を 近隣の6自治連合会が市に要望書
売却が予定されている西奈良県民センター跡地=2021年8月、奈良市登美ケ丘2丁目
奈良県が西奈良県民センター跡地(奈良市登美ケ丘2丁目)の売却を予定している問題で、近隣の自治連合会が仲川げん市長に要望書を提出していたことが分かった。要望書は、市から県に対し売却を再考するよう促してほしいとしている。併せて市としての利用を検討するよう求めるとともに、災害時の避難場所としての活用などを提案している。
要望書は、登美ケ丘地区など6つの自治連合会が連名で1月末に提出。市危機管理課が窓口となって受け付けた。同跡地の売却を巡っては、有志の住民でつくる「西奈良県民センター跡地利用を考える会」(川島信彦世話人代表)が2019年から、県に3000人の署名を提出するなど、跡地の売却中止と防災を兼ねた公共施設の建設を求めて運動を続けているが、自治会組織によるこうした要望は初めて。
要望書は、同センターが老朽化などを理由に2016年に廃止されるまで、住民の憩いの場であり、投票所や税務相談所など地域になくてはならない施設だったとし、廃止後、県から市に対し、跡地の活用について照会があった際も、地域に相談なく、活用意向なしと回答した、と述べている。跡地については、災害時の避難場所やドクターヘリ、防災ヘリの発着に活用できると提案している。
6つの自治連合会のうちの一つ、鶴舞地区自治連合会の階戸幸一会長は「防災の観点から土地を残してほしい。自治連合会としても活用に協力していく」と話している。
跡地活用を巡っては、「跡地利用を考える会」が昨年8月、奈良市に対し、県に跡地の無償譲渡を申し入れるよう求める要望書を提出。市はこれを受けて、県に問い合わせをしたが、県は同年10月、「無償譲渡は難しい」と回答している。 関連記事へ