県域水道一体化、奈良市の緑ケ丘浄水場から生駒市への供給を検討
奈良市営緑ケ丘浄水場を支える有力水源の1つ、布目ダム。1990年代の渇水懸念当時に生駒市への水融通が検討されたことがある=2021年11月7日、本体・奈良市、貯水湖・同市と山添村
奈良県が主導する県域水道一体化に向けて、生駒市は3日、一体化後も浄水施設として残される予定の現奈良市営緑ケ丘浄水場の水道水を生駒市民に供給することを県、奈良市との3者で検討していることを明らかにした。
同日開会の生駒市議会12月定例会本会議一般質問で加藤裕美市議(無所属)が、一体化計画により県が廃止を促す生駒市営の2地下水浄水場について「市営浄水場は防災上、有用である。多様な水源を守ることは大事だ」と質問。岸田靖司上下水道部長が答弁し、「奈良市からの導水が実現すれば、生駒市営浄水場を廃止しても、現在の2つの水系の異なる2県営浄水場からの受水に加え多様な水源が確保されることになる」と述べた。
2市をつなぐ導水管の建設工費は、県が2025年度の開業を目指す企業団(県、市町村など29団体で構成予定の一部事務組合)が負担する。工法やルートなどは未定。
奈良市は1994年夏の少雨で、県内の渇水が心配された折、同市営の水道施設、登美ケ丘配水塔と生駒市の真弓配水塔をつないで水道水を供給する案を検討したことがある。この構想は、山添村の協力で造られた奈良市の自己水源、布目ダム(水資源機構)の貯水力が根拠となった。
加藤議員は「県域水道一体化計画はデメリットの検証がされておらず、パブリックコメントも行われていない。香川県の水道一体化の企業団議会は質疑も乏しく、まるで承認機関のようだ。経営が良好な生駒市の水道事業が単独を選択した場合の財政シミュレーションはもっと精査する必要がある」と訴えた。 関連記事へ