西奈良県民センター跡地を都市公園から除外 県、原案を公開 大渕池公園の計画区域変更 6月に地元説明会
県が売却を予定している西奈良県民センター跡地の位置図(作成「奈良の声」)
奈良県は5月19日、奈良市の県立大渕池公園の都市計画区域から、公園としての整備に至っていない区域を除外する、計画変更の原案を公開した。6月以降、住民の意見を聞いた上で正式な変更案を作成、県都市計画審議会の承認を得ることを目指す。除外区域には、県が売却を予定している県有地の西奈良県民センター跡地が含まれており、跡地の売却中止と公共的活用を求めて運動をしている住民は、跡地の除外を阻止したい考えだ。
建物が撤去された西奈良県民センター跡地=2021年8月、奈良市登美ケ丘2丁目
原案によると、同公園の都市計画区域は、同市登美ケ丘2丁目のため池大渕池と周辺の緑地合わせて25万1000平方メートル。除外対象となっているのは1万1000平方メートルで、うち3000平方メートルが県民センター跡地。このほかは民有地で、現状は住宅地、ため池、宅地開発中の土地など。
計画区域のままだと、建物の階数や構造について建築制限がある。
県が示している日程によると、原案の公開は5月20日から6月10日までで、県ホームページの中の公園緑地課のページのほか、県庁の公園緑地課、奈良市役所の都市計画課で閲覧できる。6月4、7日に地元説明会、17日に公聴会が開かれる。公聴会では、市民は原案に対する意見を述べることができる。県は、この意見を整理して正式な変更案を作成、公告する。
公告から2週間の変更案縦覧期間中に市民の意見を受け付ける。一方、奈良市も市の都市計画審議会で変更案に対する意見を聞き、市としての意見をまとめる。県は、市民の意見と市の意見を付けて、変更案を県都市計画審議会に諮る。
原案は、都市計画の変更理由について「大渕池やその周辺の樹林地を保全・活用した水と緑の公園とする当初の設置目的は、現在の供用区域をもって既に果たされている」としている。現在、23万5000平方メートルが公園として整備され、利用されている。県民センター跡地の除外の是非については、都市公園としての整備の必要性の有無が焦点になるとみられる。
県に対し売却中止を求める署名活動などを展開してきた「西奈良県民センター跡地利用を考える会」(川島信彦世話人代表)は「跡地は交通至便で、公共施設の建設や防災にも重要。地域に残された貴重な公有地」として、県民センター跡地の都市計画変更に反対の声を上げよう」と呼び掛けている。
同会のほか、近隣の6つの自治連合会もことし1月、県に売却を再考するよう促してほしいとする要望書を市に提出。災害時の避難場所としての活用などを提案している。
大渕池公園は、大阪のベッドタウンとして市中西部で宅地開発が進む中、1972年に都市計画決定された。1980年から順次、利用が開始され、1991年時点で利用面積は都市計画決定区域の94%に達した。
公聴会で意見を述べられるのは奈良市民と利害関係者。事前に6月10日必着で県公園緑地課に公述申出書を提出する必要がある。原案が公開されている県ホームページのURLはhttps://www.pref.nara.jp/60901.htm
問い合わせ先は同課都市公園係、電話0742-27-8069。 続報へ