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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

生活保護申請の第三者同席「不適切」答弁問題 奈良県香芝市、「事情聴取の場面に限定」と主張

奈良県香芝市役所=同市本町

奈良県香芝市役所=同市本町

 奈良県香芝市が生活保護申請時の第三者の同席について、親族の個人情報保護を理由に「不適切」とした今年9月の議会答弁。その半年前の「議員以外の支援者の同行は断っていない」とした市民団体への回答の否定に見え、「一貫性がない」と批判されている。12月7日の市議会定例会一般質問でこの問題が取り上げられ、市は「回答の変更はない」と主張した。

 同問題を巡っては、生活保護申請時の議員同席について政治倫理などを理由に問題視している「無所属の会」の川田裕議員(議長)が、9月の定例会代表質問で「生活保護申請では、本人だけでなく家族など関係者のいろいろな情報が輻輳(ふくそう)している」として、第三者の同席について市の考えをただした 記事)

 これに対し、市総務部長は「生活保護申請に関する事情聴取では、世帯員の所得、親族などに関することなど、本人以外の情報を聴取する場面も多分にある。聞き取りをするのが市であることを考えると、職員による個人情報の間接的漏えいに当たる恐れがある」との見解を示した。

 一方で、市は今年3月、市民団体「香芝市生活保護問題調査団」(団長、吉永純花園大学教授)からの申し入れ 記事)に対し、福岡憲宏市長名の文書で「生活保護法や厚生労働省の通知では申請時の同行を禁止する定めはないと理解しており、議員以外の支援者の同行は断っていない」と回答していた。

 青木恒子議員(共産)は7日の一般質問で「行政の見解の一貫性のなさには大きな問題がある」 記事)として、市の考えをただした。

 総務部長は「市長の回答の変更はしていない。先の議会での私の答弁との齟齬(そご)はない」とした上で、根拠として「答弁では複数回にわたり『生活保護申請に関する事情聴取においては』と(述べているように)ケースを限定した」と強調、「申請時の同行のケースについては答弁していない」と述べた。

 さらに同部長は「(答弁では)意思の疎通やコミュニケーションに支障がある人に対する合理的配慮の必要性を論じるとともに、申請権の侵害はあってはならないと申し上げた、と記憶している」と述べた。

 ただ、9月の同部長の答弁で「事情聴取」を「申請時の同行」と区別して同席の可否を説明する場面はなかった。

 市民団体「奈良県の生活保護行政をよくする会」(代表世話人・古川雅朗弁護士)は先月9日、「申請者が同意している場合に第三者の同席を拒む理由はない」として、県に見解を求めるとともに指導を申し入れている。「よくする会」の調査では、福祉事務所を設置する県内自治体で、議員や支援者など第三者の同席を認めていないのは香芝市だけという。

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