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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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浅野善一

変更案の縦覧始まる 西奈良県民センター跡地の除外、原案通り 公聴会では公園として整備求める声

縦覧中の県立大渕池公園都市計画決定区域の変更案(県ホームページから、「奈良の声」が一部文字を追加)

縦覧中の県立大渕池公園都市計画決定区域の変更案(県ホームページから、「奈良の声」が一部文字を追加)

 奈良市登美ケ丘2丁目の西奈良県民センター跡地(県有地)の売却などに向け、県が作成した県立大渕池公園の都市計画決定区域変更案の縦覧が23日始まった。今年6月の地元説明会や公聴会で示された原案の通り、同跡地など公園整備に至っていない区域を公園計画区域から除外する内容になっている。県は9月6日までの縦覧期間中、案に対する意見書を受け付ける。

 県はまた、地元説明会の議事概要と公聴会での住民の意見に対する県の見解を県ホームページで公表した。跡地の売却中止と防災を兼ねた公共施設の建設を要望するなどしてきた住民は、跡地の除外に反対している。

建物が撤去された西奈良県民センター跡地=2021年8月、奈良市登美ケ丘2丁目

建物が撤去された西奈良県民センター跡地=2021年8月、奈良市登美ケ丘2丁目

 変更案の理由書によると、同公園は1972年、大渕池とその周辺の樹林地を活用した約25万1000平方メートル(面積補正で現状は24万6000平方メートル)の総合公園として都市計画決定され、これまでに約23万5000平方メートルが公園として整備された。整備・活用が困難で供用に至っていない区域では、建物の階数や構造が制限される状態が続いている。

 一方で、近年の人口減少などの社会情勢を踏まえると、現在の供用区域をもって当初の都市計画の目的を果たしており、公園として供用に至っていない約1万1000平方メートルを同公園の都市計画決定区域から除外するとしている。

 県公園緑地課によると、除外対象区域のうち約8000平方メートルは民有地で、残る約3000平方メートルが売却方針が決まっている西奈良県民センター跡地。

 公表された公聴会の報告では、公述した住民12人の意見ごとに県の見解が示されている。

 意見はいずれも、跡地の除外に反対するかその目的に注文を付けるもので、「取り壊されたセンターでは住民らがいろいろな目的で活動してきた。県は同様の施設を設ける義務がある」「跡地の民間への売却を前提とした都市計画の変更に反対」「“人口減少”というが、この地域は若い人も増えている。新しい住宅も建っている」「住民の交流、災害時の避難の施設ために公園のまま残すべき」「公共設備の建設目的なら賛成してもよい」などというものだった。

 これに対し県は、「公民館の機能を持つ施設は基礎自治体の奈良市が設置すべき」「公園として供用する見込みのない区域を除外するもので、センターの廃止や土地の売却について諮るものではない」「“人口減少”の記載については、本公園が県営公園として広域利用を見込むものであることから、県全体の状況を踏まえたもの」「(公園の)東西両地区の広場は奈良市地域防災計画で避難所に位置付けられている」などと述べている。

 変更案の縦覧は、県ホームページの公園緑地課のページのほか、同課と奈良市都市計画課でできる。意見書の提出先は県公園緑地課で、9月6日必着で郵送するか持参する。

 県は、奈良市に対しても変更案に対する意見を聞く。県は、縦覧で受け付けた意見と市の意見を付けて、変更案を県都市計画審議会に諮る。 関連記事へ

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