西奈良県民センター跡地除外 公園として残して 奈良市が審議会に意見聴取
県立大渕池公園の変更案に対する意見聴取が行われた奈良国際文化観光都市建設審議会=2022年10月24日、奈良市役所
奈良市の奈良国際文化観光都市建設審議会(会長・伊藤忠通県立大学名誉教授、20人)が10月24日、市役所で開かれ、市内の県立大渕池公園の都市計画決定区域から、公園としての整備に至っていない区域を除外する県の変更案に対する意見聴取が行われた。
県が売却方針を決定していて、除外対象に含まれている県有地の西奈良県民センター跡地に対しては、防災などの面から公園として残した方がよいのではないかとの意見が複数の委員から示された。
跡地を巡っては、売却中止と防災を兼ねた公共施設の建設を要望するなどしてきた住民が除外反対を訴えているほか、周辺自治会も市としての利用を要望している。
山本直子委員(市議)は、国土交通省の都市計画運用指針が「公共空地の都市計画の変更」について慎重な検討を求めていることに言及した上で、「住民が防災のためにも公園として残してほしいという意見は真っ当。売却は拙速。県には県民の意見を十分に尊重して計画を進めていただきたい」と述べた。
柳田昌孝委員(市議)は「今回、どうしても外さざるを得ないエリアもあると思う。結果としてマイナスになるので、無理に外さなくてもよいエリアは残してもよいのではないか」と述べ、同公園の都市計画決定区域の中で民有地と県有地は区別して検討することを提案した。
中山徹委員(奈良女子大学教授)は、地形上、西奈良県民センター跡地付近が谷の水をせき止めて造った大渕池の堰堤(えんてい)に当たると指摘、「公園の中で非常に重要な場所。売却された場合、何に使われるか分からない。公園以外の用地に使うのは災害上、妥当なのかどうか。災害が起こっても被害が拡大しないような位置付けの方がよいのではないか」と述べた。
伊藤会長は「防災、公園の機能、県民の利用の点からも検討する余地があるのではないかという意見をいただいた。まとめて県に伝えていただきたい」と市に求めた。
市はこの日の委員の意見をまとめ、市の意見として県に提出する。県は11月22日の県都市計画審議会に変更案を諮るが、この際、市の意見と変更案の縦覧期間中に受け付けた県民の意見を示す。変更案が承認されれば、一般競争入札による売却へと手続きが進められる。 関連記事へ