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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

「水道水おいしい」 ミネラルウオーターを上回る 10代の反応 2019年の大和郡山市の利き水大会

利き水大会の水道水が製造された市営北郡山浄水場=2022年7月3日、大和郡山市植槻町

利き水大会の水道水が製造された市営北郡山浄水場=2022年7月3日、大和郡山市植槻町

 奈良県域水道一体化に向けた昨年1月の覚書を見送り、参加・不参加の判断が注目される大和郡山市が2019年、市販のミネラルウオーターと水道のどちらがおいしいと感じるか、利き水大会を開いた。僅差でミネラルウオーターが勝利したが、年代別でみると、10代は水道水の方がおいしいと感じる割合が高かったことが市の記録から分かった。将来にわたり水道料金を負担していく若い世代から意外な好反応が返ってきた。

 利き水大会は市上下水道部が企画し、同年7月13日の全国金魚すくい選手権大会(大和郡山市主催)の予選会場で開催した。水道水は、地下水100%の市営北郡山浄水場の水を用い、ミネラルウオーターは、一般によく流通している廉価な銘柄を選んだ。共に氷入りのクーラーボックスの中でよく冷やして提供した。

 自己水への愛情が伝わってくる行事だ。209人が参加し、ミネラルウオーターがおいしいと感じた人は114人、水道水がおいしいと感じた人は95人だった。市が同時に実施したアンケートによると、日ごろ「ミネラルウオーターの方がおいしい」と思っていた人は78・9%に当たる165人に上っていた。これにより、人々の日常の意識と実際の味覚とは、かなりかけ離れ、水道水の評価が良好であることも分かった。

 10代の若者は60人が参加した。利き水の結果、「水道水の方がおいしい」と回答した人が33人おり、「ミネラルウオーターの方がおいしい」と回答した27人を上回った。親世代に当たる40代は27人が参加し、「ミネラルウオーターの方がおいしい」と感じた人が15人で、水道水の支持派をやや上回った。

 市営北郡山浄水場の前身の施設は1938(昭和13)年、旧郡山町の時代から稼働し、現在は6カ所の深井戸から地下水をくみ上げる。他に市営昭和浄水場があり、21カ所の深井戸の水と、県営御所浄水場(水源、吉野川〈紀の川〉水系ダム)の水とを混ぜて市内に供給している。県主導の一体化に参加すれば、いずれの市営浄水場も廃止される。

 利き水大会は2018年も実施。コロナ対策のため、現在は開催できないが、市上下水道部は「水道水の惜敗は塩素による浄水のため。ミネラルウオーターの人気が高まり、水道水離れといわれる今日にあって、水道水の良さを見直してもらう行事になった。安全でおいしい水道水をPRできた」と話す。 関連記事へ

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