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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

県域水道一体化への参加是非、意見聞く 奈良市の第三者懇談会が初会合 8月にも方向判断

「奈良市県域水道一体化取組事業懇談会」の初会合であいさつする西谷忠雄副市長=2022年5月20日、同市法華寺町の市企業局

「奈良市県域水道一体化取組事業懇談会」の初会合であいさつする西谷忠雄副市長=2022年5月20日、同市法華寺町の市企業局

 奈良県内27市町村営水道と用水供給事業の県営水道とを事業統合し、統一料金による企業団(一部事務組合)発足を2025年度に目指す県主導の構想が具体化する中、奈良市は協議中の団体としては初めて第三者の学識経験者、市議らから意見を聞くための「奈良市県域水道一体化取組事業懇談会(座長、浦上拓也・近畿大学教授、11人)を設置、20日、同市法華寺町の市企業局で初会合を開いた。

 県は2017年10月、一体化の方針を打ち出して以来、人口減少による水需要の減少や水道施設の老朽化を踏まえ、9浄水場を廃止する投資の抑制、国庫補助金の獲得、料金の上昇抑制など、一貫して広域化の長所を広報してきた。

 一方、奈良市が同懇談会に提出した参考資料には、国が推奨する簡易水道統合のスケール・メリットが必ずしも発揮されていない全国事例などを踏まえ「広域化のメリットが見えないと前に進めない」とする現場からの声が盛り込まれた。

 西谷忠雄副市長は冒頭のあいさつで「8月中に市の方向を取りまとめたい」と表明。今後、市で独自の分析を進めるが「市の内部だけで判断するのでなく、方向性を探る上で懇談会から出る意見を参考にしたい」と述べた。

 県が2月に「奈良県広域水道企業団設立準備協議会」で示した一体化の料金シミュレーションを巡っては、市が算出根拠の提示を求めている。委員の下山朗・大阪経済大学教授(経済学)が現状を尋ねたところ、現在も回答がないことを明らかにした。

 委員からは多様な意見が出た。作間泉・奈良市自治連合会長は「資料を精査していくが、県の進める一体化は理解できそうだ」とし、松山治幸・公認会計士は「水道は地産地消が良い。リスクの分散が大切。組織が大きくなると運営のきめ細かさが失われるのでは」と話した。

 市民ら27人が傍聴。8月下旬までに4回の開催を予定している。

 県水道局県域水道一体化準備室はこの日、取材に対し「懇談会が開かれることはメディアを通じて知った。今後、傍聴するかどうかはまだ検討していない」と話した。 関連記事へ

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