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発行者/奈良県大和郡山市・浅野善一

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ジャーナリスト浅野詠子

視点)市町村営9浄水場の廃止案 全戸配布の県広報紙による周知、一度もなく 奈良県域水道一体化構想

奈良県域水道一体化で存廃が検討されている浄水場

 2025年度の企業団(一部事務組合)設立を目標に、奈良県内の27市町村の水道と県営水道を統合する県主導の県域水道一体化構想は、基本協定の締結に向けた大詰めの協議を目前に控えているが、全戸配布の広報紙「県民だより奈良」による県民への周知は、一度も行われてない。

 県は、荒井正吾知事肝いりの「奈良モデル」ジャーナルの掲載や水道局ホームページにおける紹介などで十分との立場を取る。しかし、公民館や図書館などに置かれる「奈良モデル」ジャーナルを手に取るような人は、もともと県政などについて関心が高い層ではないか。

 水道は暮らしに大きく関わることであり、無関心層にも働きかけるような丁寧な広報が大切だ。一体化構想の長短などを行政が示し、住民が意見を言える機会は設けられていない。このままでは、大半の県民が構想の内実を知らないまま、計画は動いていく。

 県が廃止対象として挙げているのは5市町村の9浄水場に及ぶ。奈良市営木津浄水場をはじめ生駒市営山崎、真弓浄水場、天理市営豊井、杣之内浄水場、桜井市営外山浄水場、葛城市営竹内、兵庫、新庄浄水場が該当する。

 県の構想では、布目ダムなどを水源とする奈良市営緑ケ丘浄水場からの配水を生駒市方面に延伸させ、さらに遠隔地の大滝ダム(川上村)から奈良盆地への導水を加速させる。これに伴い、健全な水循環に貢献してきた地下水やため池などの水源を廃止しようとしている。

 一般に給水人口が10万人を超えるな団体は、単位水量(1立方メートル)当たりなどの電力消費量は小さくなる傾向とされる。一方、県が目指す給水人口が100万人を超える企業団の規模になると、50万人以上100万人未満の水道事業体と比べ、単位当たりの電力使用量は微増するという研究データ(日本水道協会「水道統計」2006年)もある。

 改正・水道法は、水道の広域化を促進し、民営化に新たな道を開いた。広域化の次は民営化なのかどうか、県民もそこが知りたいところだろう。県が強調するのは10年間で得られる国庫補助金であり、また、市町村営の浄水場を更新せずに浮かせる金を試算してきた。これらにより、単独経営より一体化を選択する方が水道料金の上昇を抑制できると、県はアピールする。

 県水道局県域水道一体化準備室は「県域水道一体化についての県民向け広報は奈良県ホームページ、「奈良モデル」ジャーナル(奈良県市町村振興課発行、冊子配布と奈良県ホームページ掲載)等により行ってきた。今後も時機を捉えて県民の皆さまへの広報に努めていく」と話す。 関連記事へ

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