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地域の埋もれた問題に光を当てる取材と報道


安堵町、廃棄物処理補助金の違法支出「不起訴相当」 検察審査会付言「旧態依然の体質、脱却すべき」

 安堵町が町同和地区産業廃棄物処理組合に交付した補助金を巡る問題で、住民が町職員を背任の疑いで告発し、奈良地検が不起訴としたことに対し、同住民が行った審査申し立てについて、奈良検察審査会は9月25日、「不起訴相当」と議決した。一方で町組織に関し「旧態依然の体質から脱却すべき」と付言した。(2024年10月2日)

県水道一体化への参加、26市町村すべての議会が承認

 県域水道一体化を協議する県広域水道企業団設立準備協議会(会長・山下真知事)を構成する26市町村のすべての議会のこの9月定例会で、一体化への参加が承認されたことが「奈良の声」の調べで分かった(採決結果の一覧表あり)。一体化参加への最終意思となるもので、10月7日に予定されている県議会での採決で可決されれば、2025年4月、県と26市町村の水道統合による事業が開始される。(2024年9月30日)

県域水道一体化を考える

記者余話)県水道一体化 開示請求で「ない」と回答の文書存在 1行の記述の重み

 水道管の強靱(きょうじん)化に役立つとして評価が高まるポリエチレンスリーブ(管路外面の腐食予防施工)。2025年4月予定の県域水道一体化事業統合の協議で、この施工法についてどのような検討が行われているのか、記者が県情報公開条例に基づき昨年2023年9月、開示請求したところ、「文書はない」と口頭で回答があったことから請求を取り下げた。(2024年10月5日)

懲罰賛成議員への賠償金請求、否定せず 香芝市、議会の出席停止処分に損害賠償命じる判決で

 香芝市議会の青木恒子議員(共産)に対する出席停止処分を違法とし、市に国家賠償法に基づく損害賠償を命じた控訴審判決が確定したことを受け、市は9月25日の市議会定例会(最終日)に、損害賠償金を支払うための一般会計補正予算案を提出。予算案は全会一致で可決されたが、三橋和史市長は、懲罰に賛成した議員に賠償金分を請求する求償権の行使について「求償することも含め、慎重に総合的な見地から検討したい」と述べて否定しなかった。(2024年9月25日)

コラム/川上文雄のじんぐう便り

にんにくの花(撮影日2024年6月16日)

13)選挙権は1本の「蜘蛛の糸」

 芥川龍之介の短編小説「蜘蛛の糸」(くものいと)。地獄で苦しむ犍陀多(かんだた)を極楽に導くために、お釈迦(しゃか)さまが垂らした1本の糸。極楽に向かって蜘蛛の糸をのぼっている途中、ある言動をおこなったのと同時に糸が切れてしまい、地獄に逆戻り。極楽にたどり着けませんでした。この短編につなげながら、このところ選挙について考えています。(2024年7月21日)

お知らせ

 「いまこそジャーナリズムにXを! ~深掘りとローカルインパクトの協奏~」(2023年6月18日開催)に「奈良の声」の浅野善一が参加。レポートを見る

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県内の生活保護率の動向も一目で 全国市区ごとの増減を地図上で色分け 市民団体がウェブ上に公開

 人口に対する被生活保護世帯の人数の割合を示す保護率について、県内12市を含む全国市区のこの10年の増減が一目で分かる「生活保護率増減マップ」を、貧困や生活保護に関わる施策の調査研究に取り組む市民団体が作成、9月17日、ウェブ上に公開した。(2024年9月19日)

県水道一体化 焦点の大和郡山市議会、関連議案可決で2025年統合の公算

 大和郡山市議会は9月19日の定例会本会議で、県域水道一体化の受け皿となる県広域水道企業団(一部事務組合、特別地方公共団体)への参加に向けた最終的な賛否を問う関係議案を賛成多数(賛成13、反対5)で可決した。議会では賛否が拮抗(きっこう)する状況が続いていたため、仮に否決となれば、残る25市町村と県が統合の協議をやり直すことになり注目を集めていた。(2024年9月19日)

記者講演録)水道の広域化と自治を考える

 本稿は、「奈良の声」記者浅野詠子が2024年8月24日、長野県上田市の市中央公民館で「おいしい水を広める市民の会」が開いたシンポジウム「勉強会・おいしい水の願い!」で基調講演した際の内容を修正し再構成したものです。(2024年9月16日)

記者講演録)司法精神医療と人権

 本稿は、「奈良の声」記者浅野詠子が2024年8月19日、東京都千代田区霞が関1丁目の日本弁護士会館で開かれた日弁連・刑事法制委員会で「心神喪失者等医療観察法」の演題で講演した際の内容を修正し再構成したものです。(2024年9月15日)

控訴審判決、今週にも確定 奈良県香芝市議会の出席停止巡る訴訟 処分内容踏み込み問題点指摘も

 香芝市議会の青木恒子議員(共産)に対する出席停止処分を違法とした控訴審判決は、三橋和史市長が「上告しない」との方針を示したことで今週にも確定する見通し。奈良地裁の一審判決を不服として市側が控訴したものだったが、8月28日の大阪高裁の判決は一審判決を維持した上で、処分の内容についてさらに踏み込み問題点を指摘するものだった。(判決は9月18日に確定した)(2024年9月9日)

関西広域)精神病患者会での活動を著書に 京都の江端さん 刊行通し「自治会」設立目指す

 京都市山科区の木造アパートを拠点にした精神病患者会「前進友の会」で34年間活動した江端一起さん(63)が、仲間たちとの交流活動や当事者の肉声をつぶさに記録した著書「日ノ岡荘みんなの部屋の物語」(千書房、A5版169ページ)を刊行した。本書を通して患者が自立できる「自治会」の設立を目指す。(2024年9月9日)

公示文書の掲示板も市役所正面から姿消す 奈良市、芝生広場整備機に庁舎内に移転

 奈良市役所正面入り口の「奈良市庁」の銘板が芝生広場の整備に伴って撤去された問題で、銘板の近くの通りに面した所にあった掲示板も庁舎内に移転されていたことが分かった。掲示板は市の条例や規則の公布、市営住宅入居者募集の告示、入札の公告などの公示文書の掲示場所に指定されている。(2024年9月4日)

議長の不信任を全会一致で決議 香芝市議会 前回の動議不成立受け再提起

 香芝市議会は9月2日の定例会本会議で、川田裕議長に議長職の辞職を求める不信任決議案を全会一致で可決した。川田議長に対しては今年7月の定例会でも不信任決議案の動議があったが、川田議長は賛成の起立者が着席した後に起立者なしと宣言して不成立としていた。(2024年9月2日)

議員の出席停止、高裁も「議会の処分は違法」 香芝市の控訴棄却

 奈良県香芝市議会から出席停止などの処分を受けた青木恒子議員(共産)が市を相手取り、国家賠償法に基づく損害賠償を求めた訴訟の控訴審の判決言い渡しが8月28日、大阪高裁であった。中垣内健治裁判長は、議会の処分を違法とした一審判決を維持、同判決の取り消しを求めた市の控訴を棄却した。(2024年8月28日)

生活保護申請時の議員同席認める 香芝市、前市長時代までの拒否から転換

 香芝市は8月16日、市民からの生活保護申請の事前相談や受け付けの際の市議会議員の同席を認めると発表した。前市長時代までは同席を拒否していたが、今年6月に市長に就任した三橋和史市長が認める方向に転換する判断をした。(2024年8月16日)

市議などからの「働き掛け」記録し公表 香芝市「不当要求を防止」

 香芝市と市教育委員会は、市議会議員などから職員への要望などの「働き掛け」を記録し、定期的に公表する制度を市の規則として定め、8月13日発表した。三橋和史市長は「市政の透明化を図り、不当要求を防止する」としている。一方で規則の制定と併せ、市民の相談に議員が同席することについては一律拒否の運用を見直す。(2024年8月15日)

奈良市役所入り口の無表示改善 バス・電車利用の来庁者念頭に簡易な案内

 奈良市役所入り口の「奈良市庁」の銘板が庁舎前の芝生広場整備に伴って撤去され、市役所が無表示の状態になっていたことに対し、市は8月9日までに、入り口前のバス停付近などに簡易な案内を掲示した。「奈良の声」は7月1日付の記事で無表示状態について指摘していた。(2024年8月9日)

ヘイトスピーチ規制条例の制定を 県議会議長に市民団体が要望書 根絶に向け思い伝える

 県内の人権問題などに取り組む16の市民団体でつくる「奈良県ヘイトスピーチ規制条例制定を実現する会」(加来洋八郎代表)は8月9日、同条例の制定を求める要望書と条例案を中野雅史県議会議長に提出、ヘイトスピーチ根絶に向けた思いを伝えた。(2024年8月9日)

関西広域)精神病の新薬、「通院医療との連携が極めて不十分」 大阪府立医療観察法病棟が国批判

 国が2009年に承認した統合失調症の新薬、クロザピンを投与する治療の在り方を巡り、大阪府枚方市の府立病院機構・大阪精神医療センターの医療観察法(法務省・厚生労働省共管)病棟(33床)で、退院後の通院医療機関との連携が極めて不十分であるとして、国に対し厳しい批判が出ている。(2024年8月7日)

横断歩道横にコインパーキング出入り口 大和郡山 法解釈、市町村に余地 安全確保が不確実に

 大和郡山市南郡山町の近鉄郡山駅前に開業したコインパーキングは、車の出入り口が横断歩道の横にある。一定の規模を超えるコインパーキングは横断歩道付近に出入り口を設置できない。「奈良の声」が取材を申し入れると、不動産会社(橿原市)は規模を縮小した。(2024年7月31日)

県水道一体化 企業団規約案を承認 市町村9月議会に提案

 県域水道一体化を協議する県広域水道企業団設立準備協議会(会長・山下真知事)の第5回会議が7月29日、奈良市内で開かれ、構成組織を県・26市町村と定めた企業団規約案を異議なく承認した。構成団体すべての9月議会で企業団設立議案の議決が得られると11月、一部事務組合の企業団(特別地方公共団体)が設立され、来年2025年4月、統一料金による事業が開始される。(2024年7月29日)

用水供給単価、当初4割近い引き上げ提案 県水道一体化不参加対象 「市民は水道選べない」と反対意見

 県広域水道企業団設立準備協議会(会長・山下真知事、26市町村と県営水道)は今年3月、県域水道一体化に不参加の奈良市と葛城市に対する用水供給(卸売り)の単価を、現行の1立方メートル当たり130円から6円引き上げ136円とする方針を了承したが、県の当初の提案は1立方メートル当たり178円へと4割近い引き上げを行うものだったことが分かった。一部の市は「市民は水道を選べない」と反対した。(2024年7月27日)

水道ポンプ所建設、非常用自家発電「一体の設備」か 奈良の低層住居専用地域、「危険物」の燃料貯蔵で審査請求

 奈良市が市内の第1種低層住居専用地域に建設中の水道ポンプ所を巡り、隣地の住民が市の建築確認の取り消しを求めた審査請求は、一つの問題を顕在化させた。災害などによる停電に備えた非常用自家発電設備は、ポンプ施設と「一体のもの」として併設が認められるのか―。(2024年7月27日)

諮問機関委員に議員選任せず 香芝市長が二元代表制踏まえ方針 対象13機関

 香芝市は、市の諮問機関の委員に原則として市議会議員を選任しない方針を決め、7月22日発表した。二元代表制の趣旨を踏まえた措置で、13機関について今後、議員を委員に選任しない。今年5月に初当選した三橋和史市長は、現議会と市の関係を問題視、適切な距離を保つ必要があるとの考えを明らかにしていた。(2024年7月22日)

視点)県水道一体化 自治後退し、国推奨の統合モデルへ

 水道の広域化を推進する改正・水道法施行(2019年)以来初の大型統合計画を進める奈良県。26市町村もの直営形態を2025年、一気に廃止して県営水道と垂直統合し、統一料金による事業統合を成し遂げる見通し。一方、事業主体の県広域水道企業団は一部事務組合の形態で、れっきとした地方公共団体だ。時限措置の国庫補助金を満額受給するスケジュールが優先され、住民参加や情報公開の在り方に多くの課題を残す。このまま推移すると水道の自治は後退する。(2024年7月21日)