ジャーナリスト浅野詠子
県域水道一体化への不参加求める陳情 葛城市区長会が市議会に「市の判断で価格設定できる命の水」訴え
葛城市の水道水源となっているため池=2019年、同市内
奈良県の葛城市区長会(44地区、岡本雄嗣会長)は、県主導で進む県域水道一体化構想は料金試算に課題を残すなどとして、参加しないことを求める陳情を22日までに川村優子市議会議長に提出した。一体化に対する全市的な住民による意思表示といえる。
市は今年5月18日、市内の会場で同区長会44地区の区長を対象に、県域水道一体化について2回目の説明会を、阿古和彦市長らの出席の下、県広域水道企業団設立準備協議会資料に基づき実施した。
同市営水道は江戸時代に築造された農業用ため池10カ所が主水源。県営水道の依存率は約2割と、奈良市に次いで自己水源の比率が高い。県が昨年12月、実施した一体化の試算では、現在、特に廉価な葛城市の料金が30年間でどうなるかを予測した場合、統合による料金抑制効果が現れず、経過措置として、同市に対しては一定期間、異なる水準・体系の水道料金を設定する、と県は表明している。
一方、県と27市町村が2025年を目標に一気に事業統合する一体化構想は、内部留保金や未払い金の引き継ぎ、管路耐震化のスケジュールなどについて、試算がまだ十分でない、と区長会はみる。現在、県内で最も廉価な葛城市営水道の価格が一体化でどう変動するのか、警戒感もある。
同市の水道が環境に配慮したきめ細かな浄水処理を行っていることを区長会は評価し「市の判断で価格設定ができる命の水が市民の暮らしを支える」としている。 関連記事へ